2017年2月24日金曜日

第1回研究会 2017.3.31.

【日時】
2017年3月31日(金)14:00~18:00 【終了】

【場所】
立教大学池袋キャンパス 15号館(マキムホール) 10階 M1010 M1008(参加予定者が増えたため教室変更)
【テーマ】
堀一郎 『日本のシャーマニズム』(講談社現代新書、1971)を読む


【問い合わせ先】
初参加の方、質疑など、お気軽に下記にお問い合わせください。
・奥野克巳 katsumiokuno[アットマーク]rikkyo.ac.jp 
・佐藤壮広 callsato[アットマーク]gmail.com
*スパムメール対策のため、[アットマーク]を@に代えてください。

【研究会を終えて~開催レポート~】
 第1回宗教人類学研究会では、まず、世話人から研究会立ち上げの経緯や趣旨説明がなされた後、参加者から自己紹介とそれぞれの関心が表明された。その後、堀一郎著『日本のシャーマニズム』(1971年)が取り上げられ、参加者から自由に気づいた点、分からなかった点などが出されて、活発な議論が行われた。

 堀は、1970年代以降の日本で盛んになるシャーマニズム研究を牽引した宗教学者であり、ミルチア・エリアーデの大著『シャーマニズム』の訳者でもあり、柳田國男の娘婿でもあった。彼は、エリアーデ経由でシャーマニズムの原型を「脱魂型」の飛翔を行う北方ツングース系であるとし、まずは、日本に見られるシャーマニズムを、その系統につらなる、ツスやユタなどの神霊による召命入巫者である「真正巫」と、訓練または技術習得によって巫業をおこなう、神社ミコ、神楽ミコなどの「擬制巫」に分類した。その上で、堀は、そうした日本のシャーマニズムが、社会変革期における民衆の不安や動揺、価値転換などのアノミー状況の中に、時に呪的カリスマとしてのシャーマンを教祖として、新宗教運動のかたちで現れたのだと分析した。また、日本の農村で、氏神の祭祀や儀礼がおこなわれ、そのことによって共同体の意識を強化しながら保たれてきた「氏神」型の信仰と、それを超えた、共同体の外側の広がりにおいて崇敬者を獲得した「人神」型の信仰に区分けし、シャーマニズムは、後者、つまり人神型の神からの託宣を担うシャーマンを介して機能したのだと論じた。

 参加者からは、堀の構想した日本のシャーマニズムの見取り図は、エリアーデにあまりにも深く負っているために不要な歪みをもってしまっているのではないか、堀のロジックは、社会学者のアノミー理論を用いた社会システム論ではないか、それは現代日本のスピリチュアルな動向を分析する時にも応用可能であるが、宗教を社会との相関から説明しようとしただけの堀の図式の再生産になってしまうのではないか、堀の研究からは、広義のシャーマニズムの渦中にあった民衆の姿が一向に見えてこないのではないか、堀の強調する「燃えるシャーマン」のイメージは客観主義を超えた文学表象ではないか、シャーマンは言語によっていかに表現されうるのか、
堀は神をいったいどのように捉えていたのか…、などという点に関して意見表明や情報交換がおこなわれた。

 第1回研究会には、全部で17名の参加があった。